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CreoのAI設計支援ツール 「Creo Generative Topology Optimization」 の紹介

FAQ

2024年06月25日

PTC Creo Generative Topology Optimizationのイメージ図

Creo ジェネレーティブデザイン 「Creo Generative Topology Optimization」 とは

PTC Creo GTOのワークフローの説明図1

Creo7.0よりAI駆動型の設計ツール、Creo Generative Topology Optimization (GTO)が導入され、より短時間で製造可能性まで考慮した設計を実現できるようになりました。
Creo GTOは、設計目標、ジオメトリ制約、拘束、負荷、製造プロセスといった条件に基づいて製品の設計を自動化します。一定のスキルが求められ、試行錯誤により工数もかかってきた工程を支援することで、設計者の負担を軽減します。
本記事では、設計変更の工程でCreo GTOを利用して最適化モデルを生成し、設計部品に適用するワークフローの例をご紹介します。

画面に表示されているのは既存のモータバイク製品の一部、フロントフォークアセンブリです。この中の 「フロントフォーク スタビライザー」が設計変更の対象部品です。
設計目標は、この部品の剛性を保ちつつ、70%程度軽量化することです。

以下、設計変更のワークフローの例になります。

1. Creo GTOによる最適化モデル生成の準備として、Creo Parametricで部品のボディを用意します。
本件では既存の部品の設計モデルから基本形状を取り出し、最適化に使用する 2 つのボディを作成しました。

最適化モデルの生成

PTC Creo GTOのワークフローの説明図2

2. Creo GTOアプリケーションをアクティブにし、最適化モデルの生成に必要なジオメトリ、物理条件、設計基準などのパラメータを設定します。
これらのパラメータは、通常のCreo Parametric同様にUIメニューで設定します。

最適化パラメータには以下のものがあります。
■ 設計スペース:最適化モデルのジオメトリに関する定義で、次の3つで定義されます。
   開始ジオメトリ:最適化の過程でこのジオメトリから形状削除されていきます。
   保持ジオメトリ:最適化で必ず残したいジオメトリです。例えば他の部品との接合部位で、解析で拘束や荷重条件が付く箇所などです。
   除外ジオメトリ:最適化でジオメトリが生成されない領域です。例えば他の部品が配置されたり、部品組み付け作業で工具が動作する空間などです。
■ 物理条件:拘束、荷重、接触といった条件を設定します。
■ 設計基準:設計目標と材料を定義します。製造方法(3Dプリンタ、鋳造、切削)やジオメトリの条件(対称/回転拘束、最小サイズ)もここで指定できます。

本ケースでは、
 - 開始ジオメトリとして既存部品からコピーした基本形状を使用します。
 - 保持ジオメトリとして他の部品(フロントフォーク、ステアリングステム)と組み付けられる部位を含む形状を使用します。
 - 除外ジオメトリは不要です。
 - 物理条件として、ステアリングステムに組み付ける部位に固定拘束、フロントフォークの動作の影響を受ける面にフォース荷重を設定します。
 - 設計基準の設計目標は、開始ジオメトリに対し70%のボリュームで剛性を最大化とします。製造方法は切削を選択します。ジオメトリの条件として、左右フロントフォークに対応する形状にしたいので、平面対称の条件を付けます。

3. 必要なパラメータを全てセットしたら最適化を実行します。
最適化モデルが生成されたら、シミュレーションで検証し設計案を検討します。必要に応じてパラメータを追加または微調整し、再度最適化モデルを生成できます。

4. 最適化モデルからソリッド化された設計モデルを構築します。 これはB-repモデルですので、Creo Parametricでシームレスに編集できます。また、他のCADに渡すための3Dモデルのフォーマットで出力することもできます。

設計モデルの編集・仕上げとアセンブリへの組み付け

PTC Creo GTOのワークフローの説明図3

5. 最適化モデルから構築された設計モデルをCreo Parametricで編集します。
検証にCreo Simulation Live(CSL)を使用すると、設計の段階で3Dモデルをシミュレーションした結果がリアルタイムで視覚的にフィードバックされます。この検証を元に設計モデルを検討し、最終形状を仕上げていくことができます。

6. 最終部品を元の部品と置換し、アセンブリに組付けます。